丹後の地名

神戸郷(かんべ)
福知山市大江町河守


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京都府福知山市大江町河守

京都府加佐郡大江町河守

京都府加佐郡河守上村

神戸郷の概要


《神戸郷の概要》

「和名抄」丹後国加佐郡十郷の1つ。「和名抄」高山寺本には記されず、刊本も訓を欠く。郷域・実態などに関する当時の資料はなく不明の郷である。
私は名神大社の付近にあったのでは、などと推測するが、特には根拠はない。

神戸郷の主な歴史記録

《丹後風土記残欠》
 〈 神戸  〉 


《地名辞書》
 〈 神戸郷。和名抄、加佐郡神戸郷。○今河守上村蓋是也、河守駅の北なる山村にして宮津に通ずる道路之に係る、伊勢大神宮の 址あり、近世専ら河守太神宮と云ふ、千丈岳の東麓也。  〉 


《加佐郡誌》
 〈 解 神戸。租庸調を其の社司に納める神社領の民戸、又は神田を耕す民をいふのである。延喜式によれば毎戸丁男五六人を以て率となし、衛士仕丁事力に点ぜなかったのであるが、其後には普通の例は従って、正丁四人男一人を点じ、米を以て代へた様である。封戸は社殿の修理及び其他の雑事に役し租庸は際祀料及び社司の俸禄に用いたのである。此の神戸には、神戸司、神戸頭等があって之を管し、神祇官が其の名簿を掌ったのである。抑神戸を定められたのは、崇神天皇の七年が始めてである。)、66(本郡の神戸は、河守上村の地である。といはれているが、徴すべき記録がないから確実なものとはいへない様である。田中丁蔵氏の手記によると「大山、栃尾、室中、観音寺、河辺由里、西屋、河辺中及び多祢寺の九ケ字を以て、神戸の地とす。」とあるが、斯うすれば、和名類聚抄等の書に、三宅郷を載せていない事実を説明するのに便利であるが、然し素より真偽の程は、保証する事が出来ない。  〉 

《舞鶴市史》
 〈 神戸郷
 神戸とは、氏姓制時代に神社が所有した部民を、律令制度によって、かつて隷属していた神社に貢租を納入する封戸としたものであるが、加佐郡の神戸が何神社の封戸で、どこに所在したかつまびらかではない。
 高山寺本は神戸郷を登載していないけれども、刊本は加佐郡のほか与謝・丹波(中)郡にも記しており、「大日本地名辞書」は、加佐郡では豊受大神の鎮座した旧河守上村(現大江町)、与謝郡では加佐郡神戸郷に隣接する旧上宮津村(現宮津市)、丹波郡では豊受大神の天降った故地の旧五箇村(現峰山町)をそれぞれの神戸郷所在地と推定している。  〉 


《大江町誌》
 〈 大江町に関係があるのは、志託、有道、川守、神戸の四郷である。これらの郷が、それぞれどの範囲であったのかについては諸説がある。まず太田亮は、その著書「丹波丹後」(日本国史資料叢書)の中で有道郷は、南有路・北有路・上野・二箇・金屋・千原・尾藤・常津・在田・夏間・南山を含む地域。川守郷は、河守のほか、波美・小原田・蓼原・公庄・日藤をさし、神戸郷は、旧河守上村の全域とされ、高津江と三河は、隣接する旧岡田三村と共に志託郷に属したとされる。これに対し、吉田東伍の「大日本地名辞典」では、有道郷は、旧有路上村と旧有路下村、川守郷は、旧河守町・旧河東村・旧河西村であり、神戸郷は、旧河守上村であるとする。
 この川守郷、神戸郷とかかわって興味深い記事が「大同類聚方」という書にみえる。この書物は、日本の医書の嚆矢とされる平安時代の医薬書であるが、この中に次のような記事がみえる。
 大同方ニ云フ川守ノ薬ハ、丹波ノ国神戸鴨等之家爾所ノ伝ウル方ニシテ原者ハ大穴持命乃方也 瘡類炎+羊+隹疔毒 小児胎毒ノ 諸悪聚 上気ノ眼疾二与フ
 川守の薬が、できもの、胎毒、眼疾の薬として重用されていたらしい。丹波国神戸とあるところから、神戸郷は、大江町の旧河守上村だけでなく隣接する丹波国の一部が神戸郷に含まれていたのではないかともいわれるが吉田東伍は、「大日本地名辞典」の中で、「大同方に、丹波神戸の川守薬とあるは、河守の方剤なりしごとし」と記されている。なお薬といえば、「延喜式」巻三七典薬寮の項に、丹後国から朝廷へ献上した漢方薬として、黄蓮、菖蒲、龍膽、乾棗、甘葛煎など二四種類の名があげられている。こうした漢方薬の原料採取も、当時の農民にとって大切な仕事であったと思われる。  〉 


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【参考文献】
『角川日本地名大辞典』
『京都府の地名』(平凡社)
『大江町誌』各巻
『丹後資料叢書』各巻
その他たくさん





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