丹後の地名

蒲井(かまい)
旭(あさひ)
京丹後市久美浜町蒲井・旭


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京都府京丹後市久美浜町蒲井

京都府熊野郡久美浜町蒲井

京都府熊野郡港村蒲井

蒲井の概要


《蒲井の概要》



蒲江とも書くが、久美浜の一番の北西になる。四神ヶ嶽の手前から左にはいり峠を越すと手前が蒲井とその先の旭から成る。前は海だが、カマヤ海岸のカマの地名が示すように多くは急峻な崖の海岸で、後三方から山がせまる、西へ蒲井峠を経て豊岡市田結に通じる。かつて久美浜原発の建設予定地とされたところで、「金は一時、土地は万年」を合い言葉にした地元の反対運動と、西隣の豊岡からの山越え援護射撃などで30年もかかったがようやく食い止めた地区である。そんなことがあったとは思えないような静かなたたずまいで半農半漁の人口も少なく現在社会インフラからは取り残されぎみのよう。蒲井浜の海水浴場や民宿や浜茶屋を営む家があるし、旭は江戸期の廻船の根拠地となった旭港で、千石船をつないだもやい石が多く残り、朝日長者の伝説が残る。
「丹後御檀家帳」に「一 くみのかまい 家六拾軒斗」「一 くみのあさい   家四拾軒斗」と見える。
蒲井村は、江戸期~明治22年の村。熊野郡のうち。湊宮村の枝郷。はじめ宮津藩領、寛文6年幕府領、同9年宮津藩領、延宝8年幕府領、天和元年宮津藩領、元禄10年からは幕府領。明治元年久美浜県、同4年豊岡県を経て、同9年京都府に所属。同22年湊村の大字となる。
蒲井は、明治22年~現在の大字。はじめ湊村、昭和30年からは久美浜町の大字。平成16年から京丹後市の大字。

《蒲井の人口・世帯数》 26・11
《旭の人口・世帯数》 47・16
蒲井港

《主な社寺など》

朝日浦
朝日の浦

『丹哥府志』に「朝日の浦は夕日の浦と遥に相対す。浦の前に岩あり夕日の浦と略似たり」とあるところで、これでは夕日の浦は塩江の浦のことのようである。朝日のさす頃の景観は美しいというが、この写真は夕日の頃のものである。今の感覚ではちょっと狭くて漁業にしか利用できないような入り江だが、古くから古来風待ち港として発達してきた。特に江戸期には廻船の停泊する重要な港で、熊野郡一帯の御城米は久美浜・長柄浜に集められ、艀で朝日浦まで運び、ここで千石船に積み替えて江戸や大坂へ送ったという。朝日浦や蒲井ノ湊は海運が盛んで、湊には文化年間に廻船20余隻、延享3年には廻船大工8人がいたという。また朝日長者・味鎌磨の屋敷跡がある。写真では右手の電柱が写っているあたりである。
『京都府熊野郡誌』
 〈 朝日浦
 朝日浦ば夕日の浦と遙に相対して略相似たるは奇こいふべし、前面に岩あり白崎もろこしなどいへる處ありて、頗る奇観を呈せり。
新古今     輔親朝臣
  あかねさす朝日の里の日影草豊の光のかさしなるらん
 旭港は幕府時代御城米舟積の場所にて、本郷の納米は総て艀船にて同港に廻し、此處にて本船に積込み、大阪又は江戸に廻米せるものなりき。此の地大日庵あり、大日如来を安置す、本尊は木仏にして、朝日長者の念持仏なりといひ伝ふ。農作物に霊験ありとて、農家にては田植後参拝する者其の跡を絶たず。  〉 
朝日浦のもやい岩
朝日浦のもやい岩
千石船などをもやった「もやい石」(船繋ぎ石)。今も漁船を繋ぐに使われていて、各種があるよう…

朝日長者の伝説
朝日長者屋敷跡(旭)
民宿など並ぶ所を過ぎて道なりに入っていけけば、海岸ぶちにある。
『続熊野郡伝説史』
 〈 朝日長者 (湊村)
字旭の後の小丘 傾斜せる二反歩ばかりの畑地を朝日長者の屋敦跡といふ。
成務帝の頃味鎌麿を朝日長者となす是より味日間潟の名あり(丹哥府志)
金鶏塚と称するものがあり長者の宝物金の鶏を埋めてあるといふ。農業の神として諸国からの参詣人の絶えない大日庵の本尊(木像)は長者の念持仏大日如来である。
朝日さす夕日てるてる三枚畠の真中に黄金千枚縄千束
長者の屋敷跡なる事をうたった童謡であるといはれてゐる。  〉 

『京都府熊野郡誌』
 〈 丹哥府志。成務帝四年諸国に長を立てて稲置をおく。是時味鎌麿を以て丹波熊野郡葛野浦日村に於て、朝日長者とす。是より味日間潟の名あり、朝日村は湊村一庄の内蓋枝郷なり。今幸に古名を存す。
とあり、長者屋敷は、湊村の内旭小字ドマリにあり。三段となれる高燥の地にして、現今畑地なり。俚謡に曰く「朝日さす夕日輝るてる三枚畑の真中に黄金千枚縄千束」縄は銭を連ねしものにて、長者の屋敷たる事を言ひ現はせるものなり。)、704(朝日長者屋敷。長者屋敷は蒲井に隣接せる旭小字ドマリに在り、成務帝の頃味鎌麿を朝日長者とす。是より味日間湯の名ありと丹哥府志に見ゆ。現今は傾斜せる三段の畑地にして、二反歩ばかりの面積なり。頂上に古墳あり二十年程以前発掘し、土器類等出でしといへど、古墳の構造土器の種類等詳細を知るに由なれど、恐らくは味鎌麿の墳墓地ならん乎、俚謡あり左に、朝日さす夕日てるてる三枚畑の真中に黄金千枚縄千束。  〉 

『丹後旧事記』

 〈 人皇十三代成務天皇の臣下即位四年甲戌諸国に立長置稲置神服連の府跡海部の矢須の里を国府とす此代葛野浦日村味鎌麿を朝子長者と號くと倭国史に見えたり。本朝歴史伝に曰く大矢田宿禰は成務、仲哀、神功の三代に仕て神功三韓征伐の後新羅に留り鎮守将軍となる新羅毎年八十艘の貢を入れる。
味日間潟。日間味日間麻呂を朝日長と称する事任国部。  〉 


八坂神社

『京都府熊野郡誌』
 〈 八坂神社 村社 湊村大字蒲井小字天王山鎮座
祭神=素盞鳴命。
合祀=福島神社。祭神=豊玉毘売命、速秋津毘古命、速秋津姫命。
由緒=元禄十四年再建せる事は明なれど、創立其の他の由緒明ならず、福島神社は隠岐国より漂流し来れるものといひ伝ふ、明治四十三年四月小字福島より八坂神社に合祀せり。而して設備財産等も完備し、大正十一年九月神饌幣帛料供進神社として指定せらる。
氏子戸数=四十一戸。
境内社。八柱神社。祭神=軻偶突智命。由緒=不詳。  〉 

旭神社
旭神社
『京都府熊野郡誌』
 〈 旭神社 無格社 湊村大字蒲井小字旭谷
祭神=宇賀之御霊命。
由緒=往古朝日長者の氏神と伝ふるのみにて、勧請其の由緒詳ならず。
崇敬者=十六人。
境内神社。金刀比羅神社。祭神=大物主命。由緒=不詳。  〉 


大日庵
ツリーハウス

《交通》


《産業》
久美浜原発


蒲井の主な歴史記録


『丹後国御檀家帳』
 〈 一くみのかまい   家六拾軒斗
 と禰総衛門殿     田中治郎兵衛殿
           
かうおや       たうかた江の
 神  主  殿    三 郎 太 夫 殿

一くみのあさい   家四拾軒斗
かうおや
 孫 左 衛 門 殿    木 の 下 殿
一本〔太郎ひやうへ〕
 大らひやうへ殿  〉 

『丹哥府志』
 〈 蒲井村(朝日の次)
【牛頭天王】
【草庵】
本尊観世音菩薩、其傍に地蔵、薬師の二体を安置す。七堂伽藍の地なりと申伝ふ。
【福島】(海中)
福島の磯にあたりて西嶋、月嶋又聖坊などといふ岩あり。是より西に丹後谷、但馬谷といふ谷あり、是但馬境なり、是處にヒイコヤといふ處あり尤奇観なり。
【四神ケ嶽】(蒲井村より大向村へ越る處右の方にあり、此山上に日村岳の神社あり、今湊村に移す事は其条下に詳なり)
関ケ原の役に、福知山の城主小野木縫殿介細川越中の留守に乗じて田辺の城を攻む。於是玄旨法印長岡玄蕃頭の妻及松井佐渡守の妻子皆田辺城内に呼よせ、其城に火を放ち一国一城の外更に城塁なからしめ、悉く田辺城内に籠る。是時に当って事急に迫り久美より田辺に来る暇なければ、佐渡守の妻子は深山にかくるべしと下知せらる、よって大西三郎左衛門、大下惣兵衛など供奉して此山に隠る。  〉 

『丹哥府志』
 〈 朝日村(大向村の西)
【大日庵】(真言宗)
【五霊社】(祭九月九日)
【朝日浦】
朝日の浦は夕日の浦と遥に相対す。浦の前に岩あり夕日の浦と略似たり、白崎もろこしなどといふ處は頗る奇観なり。
新古今集 あかねさす朝日の里の日影草  豊の光のかさしなるらん (輔親朝臣)
【朝日陵】
朝日の浦は諸国通船の泊まる處なり、此處より五、六町斗乾の方に長者屋敷といふ處あり、其傍に陵といひ伝へたる處ありしが近年其處崩れてなかば石櫃を出せり、其内に色々の器物を見る、いかさま故のある人の古墳ならんとて又其侭に土を覆て置きぬ、朝日長者味鎌麿の廟所にてもあらんかと覚ゆ(朝日長者の事湊村の下に出せり)。  〉 






蒲井の小字一覧


浦井(かまい)
クルイ 井谷 大谷 平野 宮谷 宮谷口 平尾山 向田 道ノ前 家ノ奥 一ノ坂 ユミヤ 長浅 家ノ上 前田 岡屋敷 奥前 ユキ谷 コギ谷 家ノカイ 中川原 下中尾 中尾 長谷 岡ノ上 家ノ前 西ノ奥口 西ノ奥 寺ノ上 中地 宮ノ下 家ノ下 東畑 天王山 後ケ谷 小浜 カンカケ 山崎 小谷川 七ツ町 藤ケ崎 根井 旭 上ノ畑 上西畑 奥 旭西畑 中泊 間谷 大泊 尼ケ谷 尼ケ谷口 尼ケ谷口道ノ下 東谷口 東谷 松尾口 松尾 大畑口 大畑 大泊リ浜 栗谷 通町 西山ナル 三石畑 中ケンジ 北谷口 坂ノ口 油石 西山後地 ハブ谷 堂ノ前 扱谷 旭宮下 国堺 居谷 旭谷 アンガケ 中田 大泊リ口 旭大谷 京スイ

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【参考文献】
『角川日本地名大辞典』
『京都府の地名』(平凡社)
『丹後資料叢書』各巻
『京都府熊野郡誌』
『久美浜町史』
その他たくさん



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