旧・資母村（しもむら）
兵庫県豊岡市但東町

資母村役場の発足と事務状況
　明治四年一一月豊岡県の成立と共に資母村は第二大区の出石郡に属することとなり、西野々・東里・高竜寺や、木村・太田・中山・坂野・虫生・口藤ケ森・中藤ケ森・奥藤ケ森・中赤花・畑山・日向は第四小区に坂津・口赤花・奥赤花は高橋村と合せて第五小区へ編入された。翌五年三月には豊岡県権令小松彰が「県令」に任ぜられたが一〇月には林茂平が権令に任ぜられた。この後新学制の成立と共に、町村事務としては、尋常小学校制の実施と各学校舎の建設計画に追われた。明治六年中山校、続いて太田校、七年には赤花校が開設された。また、明治七年従来の『御領中山』「私領中山」の称を廃止し、中山に合併された。翌八年には中藤校を開設し、赤花校を早稲村に新築、続いて九年中藤校が新築された。
　この年の八月豊岡県を廃し、兵庫県に合併され、資母村は県令森岡昌純の配下に属することとなった。明治一二年一月まず西山員直が出石気多郡長に任ぜられ、一〇月には郡役所が出石内町に置かれ、郡制が発足することとなった。（気多郡とは、こんにちの大体の日高町全域をいい、のち城崎郡となった）
　かくして明治一三年戸長役場の制度が改正され、八月には坂津外一七ヵ村戸長役場を中山に置き、出石郡第五戸長役場とし、戸長には今井甚兵衛が就任した。また、翌一四年一月中山村外一七ヵ村（現在の大字）の戸長に太田吉右衛門が就任した。この頃の県会議員には、一二年二月橋本正隆が、一三年一二月には改選により今田禎次郎、一六年七月には今井甚兵衛が当選している。
　一四年八月、口・中赤花を合併して赤花村とし、九月より各部落に戸長を置くこととなり、一六年七月各連合戸長役場を廃正し、事務を中山の第五戸長役場に引継いだ。一八年にはこの戸長に出石の倉谷多都志が就任、一九年兵庫県令内海忠勝が知事に就任した。二一年二月前記倉谷に代り今井甚兵衛が戸長に就任、明治二二年二月県令により町村区域並びに名称を改め、旧村名は大字となった。かくて四月一日より町村制が実施され戸長役場を廃し資母村役場となり、今井甚兵衛が初代村長に就任した。また、二九年七月より郡制が施行され、翌三〇年三月大森鐘一が兵庫県知事に就任し、同年六月橋本江笠が村長、一〇月新井智三郎が出石郡長に就任、町村制、郡制、府県制による各首長が揃うことになった。かくて資母村役場は三二年三月中山に新築された。…

資母郷。和名抄、出石郡資母郷。○今資母村是なり、高橋郷の北にして別に一境を成す、丹後与謝郡中郡と隔つ、(即足占山なり)此地は出石川の源なるを、下郷と名づけしは疑ふべし、蓋高橋の下郷の謂ならん、中世以降太田庄と称したり。