丹後の地名 若狭版

若狭

大鳥羽(おおとば)
福井県三方上中郡若狭町大鳥羽


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福井県三方上中郡若狭町大鳥羽

福井県遠敷郡上中町大鳥羽

福井県遠敷郡鳥羽村大鳥羽

大鳥羽の概要




《大鳥羽の概要》
JR「大鳥羽駅」のある集落で、旧鳥羽村の中心集落。鳥羽川の西岸、鳥羽谷の中央に位置する。地名の由来は、鳥羽荘の中心地であったことによるという。
鳥羽の元々の意味は渡場であろう、鳥羽川を渡る所があったものか。
中世の大鳥羽村。中世鳥羽庄の中心地。建久7年(1196)6月日付の若狭国御家人注進案に載る「鳥羽源内定範」は当地を本貫とする者であろうという。弘治2年(1556)6月22日付の明通寺鐘鋳勧進算用状に「卅文大鳥羽村」と見える。中世では「鳥羽荘七箇村」の1村として鳥羽荘内に含まれていたと伝えている。
近世の大鳥羽村は、江戸期~明治22年の村。小浜藩領。明治4年小浜県、以降敦賀県、滋賀県を経て、同14年福井県に所属。同22年鳥羽村の大字となる。
近代の大鳥羽は、明治22年~現在の大字名。はじめ鳥羽村、昭和29年からは上中町、平成17年からは若狭町の大字。鳥羽村役場・鳥羽巡査駐在所・鳥羽信用組合などが置かれた。明治24年の幅員は東西1町余・南北3町余、戸数47、人口は男118 ・ 女109。


《大鳥羽の人口・世帯数》 455・155


《大鳥羽の主な社寺など》

大鳥羽遺跡
JR大鳥羽駅東側の大鳥羽遺跡から弥生中期の有樋式石剣(県文化財)が出土。

駅と言っても、こんな様子で、東側は今は住宅が建っている。
『若狭町の文化財』
大鳥羽遺跡と湯波遺跡は、中期末(今から二〇五○年前)を代表する遺跡として知られている。特に大鳥羽遺跡からは、有樋式石剣と鉄剣形石剣片の出土があり、これらは細形銅剣を模倣したものとされている。このいわゆる武器形祭器の存在の意味するものは、松尾谷遺跡のような高地につくられた集落とともに、弥生時代に戦争があったことを証明する根拠の一つとなっている。

城山古墳
大鳥羽と南側の長江の間の尾根上の単独墳。標高約133m。上中町から小浜市東部にかけて分布する若狭の前方後円墳10基のうち、尾根上に立地するのはこの城山古墳と向山1号墳の2基のみである。前方部を南東に向け、平野部に向く墳丘側面のみ2段に築成している。上段の規模は全長約57m、後円部径約32m、前方部幅約34m。葺石、円筒埴輪・朝顔形埴輪・家形埴輪などが確認されている。5世紀前半と見られている。


石桉比古比売(いわくらひこひめ)神社(式内社)

式内社とする同名社が向かいの小原にもある。延喜式神名帳の石桉比古神社、石桉比売神社のいずれかであろうか。岩倉大明神の祭日は3月16日、7年に1度能の奉納があった。近代に入り岩倉大明神とも称した石桉比古比売神社は村社となり、明治42年山祇神社・稲荷神社を合祀したという。町文化財の木造男神像5体・木造狛犬一対・銅板懸仏を所蔵する。毎年4月3日と9月26日には若者による囃子が奉納されるという。
『遠敷郡誌』
石按比古比賣神社 同村大鳥羽字宮ノ上にあり、元岩倉大明神とも稱し、祭神不詳なり、傳へによれば石按比古神社は延喜式内にして石按比賣神社は然らずと、又岩倉明神社、倉彦明神、瀧倉彦などと稱したりと云ふ國帳には從四位石椋彦明神、又正五位石按彦明神、正五位石按姫明神あり、境内神社に天満宮祭神菅公、神明宮祭神天照大神の二社あり、明治四十二年合併の神社は山祗神社祭神不詳、元字西中村にあり、稲荷神経祭神倉稻魂神元字稲荷下におりし二社なり、神名帳考證に古事記云、石衝毘賣命亦名布多遅能伊理比賣命、按石按石鞍也、參河國石坐神社、三代實録四十四巻、作石鞍神とあり。

『上中町郷土誌』
式内石按比古比売神社 大鳥羽
祭神 岩倉大明神
由緒 (追考)これはまさに式内なる石按比古神社なるべしと云えり神社私考の説に依れり 石按姫神を移し祭ると云えり 故に式外なり 姓氏録云々大鳥これ大彦命の後なり 稚狭考云大鳥は大鳥羽にやしらず。
 (追考) 若狭国郡村石高記曰神明宮は合殿に祭る八月二十六日と云えり 明治八年十二月国内神社書上あり 大鳥羽村より 石按比古神社式内と書上(鳥羽村誌)
 当郡大鳥羽村に岩倉神社あり 倉彦明神とも申す 又同村タカイジョと云所のかみさびたる 森の中にも岩倉明神と呼べる小社ありて地主の神なりと云伝えたり共に四月三日に祭りて同神なりといえり 二社共石按比古神に坐すなるべし 但し二社の内いづれか式社ならむ今知りがたけれどタカイジョの森の中に坐て地主の神と申すが其なるべし(伴信友全集)
社寺由緒記 氏神 岩倉大明神
      五百年以前小原村より鳥羽兵衛殿勧請有レ之と申伝候由緒不二相知一略レ之
     延宝三年      庄屋  勘兵衛
注、右社寺記に記載する事は考えるに大鳥羽には往昔より 石按比古神を祭祠せり 此時石按比売神を合祀したるなりと考えらるなり 又小原村には稚狭考に記載しありて古来石按比売を祭り居りたるものと考えられ 現今岩倉大明神には石按比古比売を祭祀し居るより思えば式内にいう石按比古は大鳥羽に在り 石按比売は小原に祭祀せられて居たものと思われる。
境内神社 天満宮
祭神   菅原道真
由緒   不詳
     神明社
祭神 天満大神
   山祇神社
祭神 不詳
由緒 元字西中村にありしを明治四十二年三月石按神社へ合併す。
   稲荷神社
祭神 倉稲魂神
由緒 元字稲荷下にありしを明治四十二年三月石按神社へ合併す。



曹洞宗明渓院


『遠敷郡誌』
明渓院 右同寺来本尊は釋迦牟尼佛にして同村大鳥羽字堂ノ上に在り。

『上中町郷土誌』
明湲院 曹洞宗 大鳥羽
創建 天和元年常在院第十二世玄孫和尚開山
由緒 創設以来平僧地なりしが大正三年二月十九日本城秀禅和尚法地開闢首先住職す。
社寺由緒記に 大鳥羽村禅宗高宝山妙慶院鳥羽兵衛殿釈迦堂建立有レ之と申伝候
        延宝三年卯九月二十八日    庄屋 勘兵衛
本尊 釈迦牟尼仏          以上とある



霧ケ嶺城

鳥羽富士とも呼ばれる霧ヶ岳、鳥羽右衛門が弘治年間に築城したと伝えられる霧ケ嶺城。標高346.7mの山頂に霧ヶ嶺城跡がある。城郭としての機能を備えておらず、砦あるいは見張所といった体で、東西55m、最大幅で8m。城主の鳥羽氏は鎌倉初期に安賀庄の地頭であったという安賀高傔仗国政の末子鳥羽右兵衛を祖とする在地豪族と伝える。
『上中町郷土誌』
霧ヶ嶺城跡
 在二上中郡大鳥羽村霧ヶ嶺一伝言昔鳥羽右衛門は領二鳥羽庄七箇村一其裔孫左衛門者築二城於霧嶺一而し拠レ之後為二堤村之城主内藤佐渡守所レ滅一矣右衛門者安賀高保傔国政之末子也。(若狭郡県志)
霧ヶ峯城跡
(大鳥羽村)
一、山城主 鳥羽兵衛 屋敷一ヵ所今百姓屋敷に成る。
知行所山内村小原村三円村黒田村大鳥羽村長江村持田村七力村の今高三千八十五石一斗四升五合。此の兵衛鳥羽院の時に禁中へ申請烏羽谷領主に成る其の後代々相統兵衛の末孫左衛門と云う者の時に内藤佐渡守に打負け一族滅ぶ。



《交通》
JR「大鳥羽駅」




《産業》


《姓氏・人物》


大鳥羽の主な歴史記録


『上中町郷土誌』
大鳥羽
大烏羽は旧鳥羽村の中央に位し国鉄大鳥羽駅あり、鳥羽右衛門の築きし霧ヶ嶽城跡は北方に聳えその麓に曹洞宗明渓院がある、部落の中央の森に村社式内石?神社を祀る、社殿に所蔵する懸仏二個は大同年間の作という。境内脇の道を西すれば坂路杉山に通づ、戸数五十九戸。上中町農協鳥羽支所、大鳥羽郵便局、巡査駐在所等がある。
嘉永年間御領分高は、四百九十二石五斗七升二合とあり。明治十四年福井県管轄となりて鳥羽村役場はここに出来、石桉神社前に建立し昭和の初年部落中央に改築移転する。(町村今併と同時に鳥羽農協事務所として大鳥羽駅通に移築さる)
部落の北東田の中学大塚と呼ぶ地籍に古墳ありしも土地改良工事でその姿を消した。大塚地籍に隣して旧鳥羽中学校舎あり、現在上中町養鶏育雛所と変った。
永禄年間刀工左衛門尉藤原次広有リ次広之下冬広ニ至リ大鳥羽村ヨリ小浜へ移住ス (若狭郡県誌による)
元禄年間に構築せしという熊川、仮屋井根の設計を大鳥羽大工与兵衛に頼み水盛り溝筋の見積りをなし代官所へ願い出たと仮屋古文書にあり、与兵衛の後裔は森下角太夫の家名で現存す。


大鳥羽の伝説





大鳥羽の小字一覧


『上中町郷土誌』
大鳥羽の小字名
奥ノ谷 浅久保 大栗 宮ノ上 杉山坂 中ノ谷 滝元 滝ノ上 菴ノ上 馬場脇 稲荷下 皆脇 大門 石橋 前田 田留木地蔵 中前田 下前田 笹ケ鼻 大田 東大田 馬場尻 下馬場脇 西中村 中村 四ツ辻 浦田 川原崎 小澗口 堂ノ上 上兀ノ下 藤田 芦原 深田 芝原 田留ヶ下 松ノ崎 大塚

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【参考文献】
『角川日本地名大辞典』
『福井県の地名』(平凡社)
『遠敷郡誌』
『上中町郷土誌』
その他たくさん



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