子生(こび)
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福井県大飯郡高浜町子生 福井県大飯郡高浜村子生 |
子生の概要《子生の概要》 子生川の上流の川沿いに広がる農業地域。中央を北東に流れる子生川の両側に細長く集落が連なり、北の坂田との境界は小高い山になっていて、その北東端に蛇山古墳群。中央部に臨済宗相国寺派蔵心寺がある。この道を行くと子生坂を越えて南のおおい町川上へ至る。 「福井県伝統的民家群保存活用推進地区」に指定されているというが、大きな立派なおうちがたくさんあるところである。地名由来については、伝説に坂田の蛇山にまつわる話が伝えられている。立石村の木津刑部が熊野権現への祈願により授かった子を大蛇に呑まれたが、のち無事に大蛇の腹から子を取り出したので、子生村と名付けたという。しかしそれはこじつけの伝説であろう、チト考えてみただけでもあり得そうにもないハナシである。本当はネオとかネウ、あるいはネヒと読み、丹生のことであろうと思われる。蔵身寺のあたりの土は赤色、黄色っぽくこれが丹生土かも知れない。水銀濃度を測りたい、この水銀あっての槙山寺かも。ヘビとかクラジとかを祀っていた村であったと思われる。 子生村は、江戸期~明治22年の村。小浜藩領。合桑加・中須・新谷・福田・京末などの小名がある。当村最奧の槙山山頂に当地方最古の寺跡があり、慈覚大師が勅願を奉じて建立した寺院跡と伝える。現在も山上には小池があり不動尊を祀り、毎年7月28日に不動講が行われる。産物は温石だそうで、。「若狭郡県志」に「子生村の坂路に温石あり、寒気に疾を発する時此石を焼き帛布を以て裏を包み、之を懐に、然れば則ち温気に乗じて快を得」。明治4年小浜県、以降敦賀県、滋賀県を経て、同14年福井県に所属。同22年高浜村の大字となる。 子生は、明治22年~現在の大字名。はじめ高浜村、明治45年からは高浜町の大字。明治24年の幅員は東西8町余・南北3町、戸数28、人口は男81 ・ 女85。 《子生の人口・世帯数》 57・24 《子生の主な社寺など》 蛇山古墳群 『高浜町誌』 蛇山古墳群(実測図22・写真3) 薗部古墳から西南に入りこむ谷を一キロメートルほど入ったところに突出した低丘陵があり、さらに西側の谷の奥まったところに狭長な丘陵がある。本古墳は、その突端上に所在する。石室は現存しないが、散乱している自然石塊からかなり大形の横穴式石室であったと推定されている。背後にはなお数基の古墳の存在することが判明しているが、昭和五五年初夏に土砂取り作業が業者によって始められたためストップしてもらった経緯がある。 昭和三二年五月九日 赤土採集中に発見された遺物に杯蓋、ハソウ、横瓶の須恵器がある。ハソウの頸部はすでに発達しているが、頸部はまだ太く、口縁と共に細かい波状文が密につけられていること、口縁部の内側が段をなしていることなどから、若狭の古墳に伴う須恵器としては美浜町獅子塚古墳、大飯町神田四号墳と並んで最も古式の特徴を示している。六世紀の第Ⅰ四半期の築造と判断される。 臨済宗相国寺派北斗山蔵身寺 字柏谷にある。本尊千手観世音、開基は融雲富通禅師という。 『高浜町誌』 臨済宗相国寺派 北斗山蔵身寺 一 所在地 高浜町子生第十四号九番地 一 開 創 明暦三年一月二十四日(一六五七) 一 開 基 融雲通和尚大禅師(天正年中の寂) 一 本 尊 千手観世音菩薩 一 檀家数二三戸 一 由緒沿革 蔵身庵と称する寺号については、昔、子生地区内槙山に真言宗系の大寺院があった。幾度かの戦火や宗争によって廃滅したという。その時、一僧あり、この地に身を蔵して精舎を建て、これを道場として安居精進修行したという古事から名づけられた寺だという。槙山山頂の旧寺跡には石仏不動明王が祀ってあるが、以来子生区では上述の因縁をたどり、区民こぞって今なお毎年七月二八日早朝より拝参供養を絶やすことなく続けられている。 明和七年閠六月二三日第十世快享上座の代に堂宇の再建あり。快享和上筆の記文によれば、草創から明和七年に至る間、『中興』の事跡があったことがわかる。現在の堂宇は、明治三七年の改建によるものである。. 『大飯郡誌』 藏身庵 同 子生字柏谷に在り 寺地百十九坪 境外所有地八反二畝二十七歩 檀徒二十八戸 本尊千手觀音 堂宇〔〕 由緒〔明細帳〕天正年中融雲創立。 〔同前〕 開基融雲昌通座元天正年中示寂 建立者諸檀那中名寄一石一斗四升八合年貢地也。 槇山寺 《交通》 《産業》 《姓氏・人物》 子生の主な歴史記録子生の伝説『大飯郡誌』 子生と蛇谷 千餘年の昔高浜に木津兵部なる者居り、附近を領す、嗣子なきを悲しみ熊野権現に祷り。一男子を挙ぐ。一日夫婦他出し、帰れば嗣子の影なし。捜索して坂田山の中腹に到る、一巨蛇の横はりて其の腹膨るゝを見、直に斬て腹部を剖く、幸に嗣子恙無し、之れ北両地名ある所以と 木津氏の此地に居りしは沿革條に載す要参照 『高浜町誌』 子生の地名と蛇谷(子生) 今から千余年も昔、木津の庄を支配していた木津兵部という人がいた。夫婦間に子のないのを嘆き、紀州熊野権現さまに願をかけて、「世嗣ぎを授け給え」と祈った。そのおかげをうけて一子を授かった。ある日夫婦留守の間に、その子が見えなくなった。大いに驚き村民総出で山野くまなく行方を探したところ、坂田山の中腹、蛇谷山に大蛇の横たわるのを見た。恐るおそる近寄ってみると、その大蛇の腹が異常に大きくふくれあかっているのを見た。兵部は、直ちに太刀を振るい退治してその腹を割いてみると、果たせるかな、幸いにもわが子は無事であった。 このことがあってから、このあたりを「子生」・「蛇谷」と呼ぶようになったという。 『若狭高浜むかしばなし』 子生の漁師山 高浜の城主・逸見駿河守は、佐分利の城主・武藤上野介を攻めようと兵を集め、意気揚々と高浜を出ていった。今から、四百年ほども昔のことである。 ところが、高浜城の兵が手薄になることを知った上野介は、背後から高浜城を攻めようとしていた。高浜の人々はこれを知り、上野介の軍を波多期浜に向えるため全員が集まった。 「高浜城の兵は、ほとんど佐分利に出かけていった。城主さまの留守は、わしらが守ろうや」 「おーつ!」 勢いをついた漁師たちは、上野介の軍と大いに戦い侵入を防いだ。やがて、上野介の軍勢はこの漁師たちの軍勢に破れ、すごすごと逃げ帰ってしまった。高浜城は、漁民たちの手によって守られたのである。 これを聞いた駿河守は漁師たちをほめたたえ、漁民の土地税を免除することにした。そのうえ、漁師たちは船の中で使う薪の山までもらった。 それからというもの、南浦の女が子生の山から薪を背負って来るのをよく見かけるようになった。 「漁師の山から取ってきたんや」 そういわれると、たとえ盗木でもそれをとがめることはできなかったそうだ。 子生の蛇谷 今から千年以上も昔のことだ。高浜の西の端に、子供のない庄屋夫婦がいた。 「どうか、わたしたちに子供を授けてください」 夫婦は毎日毎日、紀州熊野の権現さんに願をかけ祈った。すると、そのおかげか、まもなく一人の男の子が生まれた。 「ありがたや、ありがたや」 夫婦の喜びは、大変大きなものだった。 ところが、ある日のこと。出先から帰るとき、子供の姿がどこにも見当たらない。出かける時は確かに、布団の上ですやすやと眠っていたはずだ。 「お~い、お~い」 いくら呼んでも、子供の泣き声ひとつ聞こえない。 夫婦は嘆き悲しみ、村人を一人残らず集めた。そして、山の中までくまなく探した。 「そっちはどうだ?」 「いや、だめだ」 どこに消えてしまったのか、子供はまったく見つからない。さんざん歩きまわった父親は、疲れて滝の近くに座り込んでしまった。 ふと気づくと、目の前に一人の老婆が立っている。 「どこから来た」 老婆にたずねられ、父親はわけを話した。 「それは気の毒なことじゃ。よいことを教えてやろう」 低い声で、老婆は続けた。 「この山の頂に岩屋があり、大蛇がいる。これを切るのじゃ。いなくなった子供が見つかるであろう。しかし、普通の剣では切れぬ。これを用いよ」 そういうと、老婆は一ふりの剣を差しだした。 父親たちはその剣を手に、岩屋へ向かった。すると、老婆のいったとおりの大蛇が眠っていた。そろりそろりと近寄って見ると、大蛇の腹が異様に大きくふくれている。父親は、すぐさま剣を振り上げ、その腹をまっ二つに切った。 「え~ん、え~ん」 大きな泣き声とともに、そこからは可愛い我が子が現われた。 それからというもの、この地を子が生まれる〝子生(こび)〟、あるいは〝蛇谷(じゃだに)〟と呼ぶようになったという。 子生の小字一覧関連情報 |
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【参考文献】 『角川日本地名大辞典』 『福井県の地名』(平凡社) 『大飯郡誌』 『高浜町誌』 その他たくさん |
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